広報ID1003265 更新日 令和3年8月26日
学校給食がどの様なかたちで準備され、作られているのかを紹介します。
盛岡市の学校給食の調理場では「盛岡市学校給食マニュアル」に沿って運営が行なわれています。
食物アレルギーなどを持っているため、食べることができない食材がある人がいますので、その状況を確認しています。
各学校では入学前や転入時などに、食物アレルギーを含む,様々なアレルギーの体質について確認をし、給食についてどの様な対応ができるのか、保護者の方と学校側で話し合いをして、対応方法を考えていきます。
現在、盛岡市の調理場にはアレルギー専用の調理室や調理員はいません。アレルギーの症状や、それぞれの調理場の設備や人員の状況によって、対応できる範囲が異なるのが現状です。給食の調理の中で対応できる場合もあれば、自宅からお弁当を持ってきてもらうなどの対応となっている場合もあります。
各調理場の専任の栄養士(栄養士の資格を持った栄養教諭や栄養職員など)が献立を考えます。
献立を考えるときには多くのポイントがあります。
などなど、多くの事柄を考えながら、毎日の献立を作っています。また、献立を決めるときには調味料などの配合などについても栄養士が考え、味を決定します。
食材の調達は献立を考える際にも重要なポイントになっていますが、実際に食材を決定する場合にも次のようなポイントがあります。
食材費は各学校で集められている給食費でまかなわれています。児童・生徒数が多くなると、食材購入の規模・予算が大きくなり、また単価が低くなることにより様々な選択肢が増えてきますが、逆に少なくなると、限られた予算の中でのやりくりとなるため、様々な工夫をしながら対応したり、給食費の値上げなどで対応しているのが現状です。
献立が決定し、調達する食材が確定したならば、献立表を作成します。
献立表は単なるメニュー表ではなく、使用される食材や含まれる栄養素等の情報のほか、栄養士がどの様な意図で献立を作成しているのか、給食で児童・生徒の皆さんにどんなことを学んでほしいのかを伝える、大事な教材です。
また、アレルギーを持つ児童・生徒やその保護者の方には、給食に含まれるアレルギー食材を明示した献立表を作成しお渡しする場合があります。それらを確認していただき、当日の給食の対応についてどの様にするのかを改めて確認し、事故等がないよう十分に注意を行なっています。
当日の調理作業について、栄養士と調理員が打ち合わせを行ないます。
栄養士や共同調理場の現場責任者は
を作成し、具体的に指示を出します。調理員はそれぞれの担当の作業を確認するとともに、当日の全体の動きについても把握し、効率よく作業ができるように工夫を行ないます。
調理場に立つ職員は、安全な給食を提供するために健康管理のチェック等を行なっています。
調理員の服装は、皆さんも良くご存知のとおり、白衣を着用することなっています。そのほかにも髪の毛を落としたりしないように保護帽をかぶり、マスクをして、食材に触るときなどには手袋もします。
夏場には調理室内が30度を超えることもあり、また調理機器自体が高い温度となっているため、大きな釜をかき混ぜたり、焼き物機や揚げ物機で何百人分もの調理をするときは、とても大変な作業となります。
適切な衛生管理を行なうためには、冷蔵庫、冷凍庫、消毒保管庫などが適切な温度で動いていることや、各機器が正常に動いていることが必要ですので、その状態を確認し、記録します。
また、使用する水も目視による確認のほか、塩素濃度も適切であるか、調理前、調理中、調理後にそれぞれ測定し、記録をおこないます。
納入される食材を確認(検収)します。
等を確認し、記録に残します。
この確認作業は検収室(下処理室を兼ねている調理場が多い)で行ないます。
食材を入れてきたダンボールは、様々な雑菌に汚染されていたり、虫の卵などが付着している可能性も考えられるため、食材を調理場の中に入れるときには、専用の容器に入れ替えて運び入れることになっています。
納入された食材は、調理の間まで適正な温度管理の下、保管されます。
調理をするに当たり,必要な下処理を行ないます。この処理は下処理室(検収室と兼ねているところが多い)で行ないます。
ここでいう下処理とは、野菜などの洗浄や、皮などで料理として出さない部分を取り除く作業を指します。
洗浄には3槽のシンクを使って順番に洗い上げていきながら、不適切な食材などがないか再度チェックしていきます。
下処理が終わった食材は、専用の容器に入れて調理室に運び入れます。
調理をするにあたって、最も注意をしているのは衛生管理についてです。どれだけおいしい給食をつくろうとも、安全性に問題があれば、大きな事故を引き起こしてしまいます。特に学校給食は一度に何百,何千人分の調理を一度に行なっていますので、十分に注意しながら作業を行なっています。
まず、第1に行なっているのは外部から調理室に食中毒の原因菌を持ち込まない対策です。これはかつて食中毒により児童生徒が亡くなってしまうという痛ましい経験から、国を挙げての厳しい基準が決められました。
また、基本的に調理中は栄養士や調理員以外の人が調理室や、配膳室に入ることがないようにしています。
調理員の健康チェックはもちろんのこと、調理場に入る際にはマニュアルに沿った手洗いを徹底して行なうことになっています。
児童・生徒についても、配膳室に入ることができるのは、調理が終了して配膳台に給食が並び終わった後に、白衣やマスクをした、健康状態に異常がない、係となっている子供たちだけが入れることになっています。係の子供たちはその日の健康状態などをチェックし,それを担任の先生等が確認をして、記録に残すことがルールになっています。
そのため、残念ながら調理員が料理を作っている姿は、遠目に見るか、あるいは調理場の構造によってはほとんど見ることができない様になってしまっているのが現状です。
現在の調理場は床面などを極力水でぬらさないように作業することが原則となっています。
以前は水や薬剤を使って床などを洗い流すことが、衛生管理の一般的な方法でしたが、現在では、ぬれた場所は乾くまでに雑菌が繁殖する可能性が高いことが科学的に証明されているため、最初からぬらさないようにすることこそが衛生状態を保つことであると考えられています。
それを施設の構造として作ってあるものを「ドライ方式(あるいはドライシステム)の調理場」といい、施設の構造は「ドライ方式」となっていない場合に、作業方法等でそれを補うようにすることを「ドライ運用」と言います。学校給食の調理場は、必ずいずれかの方法で運用しなければならないことになっています。
もちろんドライ方式となっている調理場でも、作業においてはドライ運用と同様の作業を行なわなければならない部分もありますが、作業台などの調理器具を専用のものとすることや排水受けを専用の構造に変えること、床材を水はけの良い、ふき取りやすい材質のものにするなどにより、排水をコントロールし、極力乾いた状態を保てるように工夫されています。
ドライ運用においては、極力水を床面に落とさないようにして作業をすることはもちろんのこと、作業台のふき取りをまめに行い、排水溝までの排水受けをつくって排水時に設置したり、コンクリートの床面の補修をまめにおこなうなど少なからずの労力を要しているのが現状です。
盛岡市では4つの学校の調理場と玉山の学校給食センターは「ドライ方式」、それ以外の27箇所の調理場は「ドライ運用」が行なわれています。
調理場自体は毎日の清掃・消毒はもちろんのこと、週1回以上のの排水溝清掃等、月1回以上の冷蔵庫フィルター等の清掃、学期に1回以上のダクト清掃や床補修など、こまめな清掃・メンテナンスを実施しています。
また、害虫の発生の有無に関わらず、毎月発生状況を確認するとともに、年2回は薫煙による駆除を実施します。
使用する調理機器や食器、食缶の洗浄・消毒についても、国から示されたマニュアルに則り、実施しています。
さらに学校医や学校薬剤師の協力を得ながら,定期的な衛生検査を実施しています。
次に調理室内で作業する部屋等を明確に分割することです。
これは作業する段階において、それぞれ雑菌などに汚染されている可能性があるものが異なるためです。
現在ドライシステムにて調理場を作る場合には、検収室、下処理室、調理室、洗浄室を別個のものとして作ることになります。検収室は外部から納入される部屋のため汚染の可能性が一番高く、下処理室は汚染されたものを洗浄する作業をおこなっているため汚染の可能性があり、調理室内は汚染を取り除いたものだけが入る非汚染区域となります。使用された食器についても教室内などで雑菌になどで汚染された可能性があるため、洗浄室は汚染の可能性がある部屋となります。
食材は基本的に汚染度合いが高い部屋から低い部屋への移動のみを行い、反対に動くことがないように作業をします。また冷蔵庫や消毒した食器などを入れる消毒保管庫は、両側のいずれの方向にも開くパススルー型のものを使用し、人が各部屋を移動する際に物を持ったまま移動して汚染物質を持ち込んでしまわないように配慮します。またそれぞれの部屋に必要な設備をそろえ、共用しないようにすることにより汚染を防止します。
ドライ運用で部屋自体が分かれていなかったり、設備を共用して使用しなければならない場合には、作業時間帯や作業場所を分け、一つの作業の後の洗浄や消毒などを徹底することにより運営を行なっています。
調理をする道具や前掛け、手袋などの装具についても、食材同士の汚染を防ぐために、厳密に使い分けています。例えば
包丁は
前掛けは
など、取り違えないようにそれぞれに色分けをして、作業に応じて専用の道具を使用しています。
実際に調理を行なううえで重要なポイントは温度と時間の管理になります。
加熱調理については調理の途中で中心温度を3点で測り、75度以上(2枚貝の場合は85度以上)に達した状態で1分間以上加熱します。
水冷をする食材は、水温が20度以下で遊離残留塩素濃度が0.1ppm以上であることを確認し、30分以内に食品の中心温度を20度以下まで冷却します。さらに冷却後は10度以下の冷蔵庫で保管します。
加熱しない果物や野菜などは、200ppmの次亜塩素ナトリウム溶液に5分間以上浸漬し、塩素臭がなくなるまで流水でよくすすぎます。
これら全ての作業について時間、温度などを記録します。
また、調理完了後から2時間以内に喫食できるよう、調理時間などを考慮しながら作業を進めます。
アレルギー対応食は除去食と代替食の2つがあります。
除去食は通常食の調理過程で、アレルギーの対象となる食材を加える前に別の調理鍋等にとりわけ、アレルギー物質を除いた料理を作る方法です。例えば卵だけを抜いてスープを調理したり、肉のみそ焼き(大豆)を塩焼きに調理したりします。
代替食は料理自体を別メニューとして作ったり、用意したりすることとなります。例えばデザートのキウイの代わにりんごを用意したり、魚の味噌煮込みを生姜煮込みに替えたりといったことをします。
調理自体に関わらない場合は、経費的な問題がなければ用意すること自体は可能ですが、調理を伴う場合には調理の作業工程や作業スペースが別に必要となるため、対象となる児童生徒のアレルギーの状況、人数、各調理場の施設・人員の状況などによって対応せざるを得ない状況にあります。
また、アレルギー物質の混入を防ぐためには作業部屋や調理器具、作業員なども専用・専任とすることが理想的ではありますが、盛岡市ではそのような対応ができる調理場がないのが現状です。
調理後は最終的な味の確認を栄養士が行い、できあがったがった給食は、食缶に詰め込んで配膳棚に配置したり、配送のトラックで各学校へ配送します。
できあがった給食は、児童・生徒に提供する前に、最終的なチェックを行なわなければなりません。。
これを検食といいます。事前に給食を食べて、味や臭いなどに異常がないこと、食後30分間を待って異常がなかったことが確認できて、初めて提供することができます。検食は主に各学校の校長先生が担当することとなっており、通常食のほかアレルギー対応食などで代替食を出す場合はそれらも全て検食します。
これは衛生管理上、法律で決められた手順ですので、安全が確認できないまま提供できないこととなっています。そのため、実際の検食時間などを含めると、児童・生徒が給食を食べるのは、調理後45分程度の時間は必ずかかることになっています。
廃棄物についてもマニュアルに沿って所定の方法により処理します。
衛生上の取り扱いについて注意するのはもちろんのこと、資源のリサイクル等についても配慮ながら処理をすることとなっています。
栄養士は給食の時間などを活用して、教室の中や学校放送を活用しながら、食に関する指導を実施しています。
もちろん、給食の時間以外でも、各学校で計画を立て、学校生活の様々な場面で、総合的に指導を行なっています。
教育委員会 学務教職員課
電話番号:019-639-9044(学事助成係)、019-601-4593(教職員係)、019-601-3712(学校給食係)
ファクス番号:019-637-8193
〒020-8532
盛岡市津志田14-37-2 盛岡市役所都南分庁舎3階
Copyright (C) City of Morioka , All Rights Reserved.